夏の暑い日。日が沈むころ、ふと見上げると自分の頭の上に小さな虫が群れになって飛んでいることがある。
みなさんも一度は、手で追い払ってもしつこく自分の上を飛び回るその虫を「気持ち悪い」と思ったことがあるのではないだろうか。夏にたくさんいる小さな虫の代表格といえば、蚊。もしもあの小さな虫が全て蚊なのだとしたら…? 考えただけでも恐ろしい。
あれだけの数の蚊に襲われたら、大変なことになるではないか! あの「夏にだけ現れる虫の柱」はなんなのだろうか。気になりすぎるので、今回はこの雑学について調べてみた。
【面白い雑学】蚊柱の正体はユスリカ!生態&対策は?
【雑学解説】ユスリカは蚊?その生態とは
まずは、その大量の虫が群がる動画を見てみよう。夏にはおなじみの景色だ。
ああ…見ているだけで手で払いたくなる動画である。
この虫の名前は「ユスリカ」という昆虫だ。名前に「カ」とつくからには、蚊の仲間なのだろうかと考えがちだが、どうやら違うようだ。
メモ
- ユスリカ…ハエ目ユスリカ科に属する昆虫
- 蚊…ハエ目カ科に属する昆虫
このように、ユスリカと蚊は名前が似てはいるがまったく別の虫である。蚊と決定的に違うところは、ユスリカの口は退化していて「吸血ができない」ということ。
吸血のできないユスリカは、生まれてから何も食べられず、数日で死んでしまう。食べることが大好きな筆者からすると、これはとんでもないことである。
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ユスリカは集まって何をしている?
ユスリカは、川や湖など、水辺の近くに生息している。わたしたち人間が住む街でも、水があるところなら生息できる。水が溜まって流れない側溝や水たまりなどから生まれ、のちに成虫になり、どこからともなく光に誘われて集まってくる。
その集まってきたユスリカのほとんどがオスであり、オスが群れになってあの「蚊柱(かばしら)」と呼ばれる大群を作るのだ。蚊柱の中では何が行われているのかというと…「交尾」である。
オスで賑わう蚊柱の中に一匹だけメスのユスリカが入り込み、大量のオスの中から相手を見つけて交尾する。わたしたち人間にとってはうざくて迷惑な存在であるあの蚊柱は、ユスリカたちの出会いの場=合コンだったのだ!
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【追加雑学①】ユスリカという名前の由来
「ユスリカ」という超まぎらわしい名前は、幼虫のユスリカが水中でゆらゆら体を「揺する」ことからきている。
「体ゆすってて蚊に似てるから今日から君、ユスリカね!」みたいな感じで、安易に名前がつけられちゃったような印象がある。
【追加雑学②】ユスリカの幼虫は、釣り人にお馴染みのアレだった
幼虫のユスリカは、「アカボウフラ」または「赤虫」と呼ばれ、釣りの餌としてよく使われる。釣り人にはお馴染みだろう。この時点では人間の役に立つ益虫なのだが…。
成虫になったら人間の頭の上で合コンしながらブンブン飛び回ったり、うっかり鼻や耳に入りそうになったりと、我々人間に迷惑を掛けてくるようになるのだ。
【追加雑学③】ユスリカが人の周りに集まる理由
よりにもよって、ちょうど私たち人間の顔のあたりで合コンが行われるのはなぜなのか? それは、人間がわかりやすい場所を目印にして、デートの待ち合わせをするのと同じ理由だ。
渋谷で目立つハチ公を目印に人と待ち合わせるように、ユスリカたちも目立つものを目印にして集まってくるのだ。ユスリカたちの生息地である川辺の近くには、何も目立つ物がないことが多い。そのため、人間が目印になるのだ。メスと合理的に出会うためなのだとしたら納得である。
見上げたところに蚊柱があったとき…。それは、待ち合わせ場所兼合コン会場にされているのだ!
【追加雑学④】ユスリカ対策を伝授!
吸血による実害はないとはいえ、ユスリカの合コンが家の庭で行われたら誰だってイヤである。では、合コン会場にされないためにはどうすればいいのか?
ユスリカたちは、側溝や水たまりに生息しまうことは先ほど述べたとおりだが、庭に雨水の溜まった古タイヤやプランターが放置されていないだろうか? もしそのような物があるならば、水を捨てて綺麗に清掃し、水が溜まらない場所へ移動させたほうが良いだろう。
ユスリカ対策には、水気を断つことが最も効果的なのだ。
雑学まとめ
今回の雑学であの虫の大群の正体が蚊ではないとわかり、ひと安心だ。夏になるたびに少し疑問に思っていたので、これからは見かけても蚊と間違えて不要にビビることはないだろう。
皆さんも、ユスリカたちのひと夏の出会いと短い一生を思えば、通りすがりに出会う彼らへの怒りの感情も少しばかり抑えられるのではないだろうか。
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