子供の頃に「穴を掘り続けば地球の反対側に辿り着くのではないか?」というような興味をもったことはないだろうか。
多くの人が好奇心をくすぐられる「穴掘り」だが、かつて国家の一大プロジェクトとして、壮大な穴掘りが行われたことがある。今回はその驚きの雑学に迫っていくぞ!
【世界雑学】人類が掘った世界一深い穴は「コラ半島超深度掘削坑」
【雑学解説】世界一深い穴「コラ半島超深度掘削坑」とは
ロシアの西の果て…荒れ果てた極寒地帯にそれはある。
かつてソビエト連邦が計画し、実際に「世界一深い穴」を掘ることに成功した「コラ半島超深度掘削坑(コラはんとうちょうしんどくっさくこう)」と呼ばれる一大プロジェクトの跡地である。
「コラ半島超深度掘削坑」とは、ソビエト連邦が実施した地球の「地殻の深部」を調査することを目的としたプロジェクトで掘られた穴のことだ。
「12,262m」がどれくらいの深さなのかというと、たとえば世界で一番高い場所「エベレスト山」の頂上(8,848m)の高さよりも深く、世界で最も深い海「マリアナ海溝」の底(深度10,911m)すら超えた深さなのである。
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そのプロジェクトは1970年5月に掘削を開始し、計画の中断など紆余曲折あったが約20年後の1989年には深さ「12,262メートル」に達して、現在においても「世界一深い穴」である。
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「コラ半島超深度掘削坑」計画の中断
元々この計画の最終目標は15,000メートルに設定されていたようだが、12,262メートル地点では摂氏100℃と予想されていた地中の温度が、実際には摂氏180℃と予想を超える熱さであったことが決め手となり、1992年に掘削は中止されてしまった。
その後はソ連の解体も相まって、1995年には完全にプロジェクトは解体された。
現在では穴の入り口は溶接され封印されている。また、施設も完全に放棄されているため、その跡地は廃墟のようになってしまっている。
目標の深さには届かなかったものの「12,262メートル」という深さは、今なお人類が掘った一番深い穴だ。
事実、このプロジェクトがもたらしてくれた発見は、当時の科学者たちを大いに歓喜させたようだ。
「コラ半島超深度掘削坑」がもたらしたもの
そんな「コラ半島超深度掘削坑」がもたらしたものはたくさんある。たとえば深層から発掘された岩石。27億年前のもので微生物や細菌など単純な生物しか存在しなかった時代の貴重な岩石だ。
比較的新しい岩石からは、プランクトンの化石が発掘され、地中の熱で窒素や炭素から守られていたその化石は、保存状態の良いサンプルとなった。
地質学の面でも、それまで地球の地殻深部には存在しないと認識されていたヘリウムや、窒素・水素が存在することが初めてわかった。
さらには地下深くに水が存在することもわかった。「地下水があるのは当然」と思われるかもしれないが、この水はいわゆる地球の「水の循環」とは完全に隔離された水なのである。
一般的に地球上の水は、雨が降って地中に水がしみ込み、川や海に流れて、それがまた蒸発して空に帰っていく。といった水の循環があるのはご存知だろう。
深層で発見された水は、この水の循環に属さない水で、地中の水素や鉱物が高圧にさらされることで発生した、いわば「地中由来の水」だと考えられている。
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【追加雑学】地獄の声?世界一深い穴「コラ半島超深度掘削坑」の都市伝説
20年以上にも渡った「コラ半島超深度掘削計画」で、「地獄」の蓋を開けてしまったという都市伝説が一時期話題になった。
その根拠となるのが、「ヘルサウンド」と呼ばれる、この穴で録音された(といわれている)音声だ。
たしかに大勢の人の叫び声のようなものが聞こえてきて、この都市伝説はインターネットだけではなく、実際にアメリカのテレビなどでも取り上げられたこともあるそう。
しかし、本当にそんなものが存在するのだろうか。
実はこれ、音声の特徴やループしている時間が一致していることから、1972年の「バロン・ブラッド」という映画に使われた音声を加工して作った偽物であると判明している。
ほっとしたような、残念なような何ともいえない気持ちだが、地獄の声はあくまでも都市伝説であったようだ。
雑学まとめ
人類が掘った世界一深い穴についての雑学をご紹介した。それはかつてソビエト連邦が「コラ半島超深度掘削坑」で掘った地殻調査用の穴で、その深さは「12,262m」であった。
この穴での調査は人類に様々な発見をもたらし、当時は都市伝説が生まれるほどに世界を騒がせた。
現代の技術をもってすればおそらくもっと深く掘れるだろう。
人類の穴への飽くなき探究心はトンネルを通ってブラジルへ日帰り旅行! なんてことを遠い未来に実現しちゃうかもしれない。
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