日本のアニメ作品は、アメリカなどの海外でも放送されていることがある。その中の1つが「ドラえもん」だ。
しかし、日本で放送されているものをそのままアメリカで放送しているわけではない。文化的な違いから、アメリカ風にアレンジする必要があるのだ。
ドラえもんが海を渡るとどんなふうに変わっていくのか…。今回は、アメリカ版ドラえもんにまつわる雑学を紹介しよう。
【面白い雑学】アメリカ版ドラえもんと日本版の違いとは?
【雑学解説】アメリカ版ドラえもんはタヌキじゃなくアザラシ
ドラえもんのネタとして時々見るのが、ドラえもんを知らない人が彼を見た時に「わぁ! タヌキが喋った!」というものだ。これが、アメリカ版ではアザラシとなっている。
どうしてタヌキからアザラシに変わったのかというと、そもそもアメリカではタヌキが存在しないからだ。タヌキは日本を中心に、東アジアやヨーロッパに生息している。
アメリカにいない動物のことをいわれてドラえもんが怒っても、アメリカ人はピンとこない。丸々と太っていて、猫以外の動物でアメリカ人にも親しみやすかったのが、アザラシだったのだ。
たしかにアザラシは全体的に丸くてずんぐりむっくりした体型だ。ドラえもんの体型にも合っている。
私たちはタヌキを知っているから、ドラえもんのタヌキネタを面白く感じる。アメリカ人もアザラシを通して同じように面白く感じてくれているだろうか?
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【追加雑学①】アメリカ版ドラえもんのキャラの名前
ドラえもんはアメリカでも「Doraemon(ドラえもん)」なのだが、ドラえもん以外のキャラ名はアメリカ風になっている。
名前 | アメリカ版 |
のび太 | Noby(ノビー) |
しずか |
名前自体は日本と同じShizuka しかし、Sue(スー)という愛称で呼ばれている |
ジャイアン | Big G(ビッグ・ジー) |
スネ夫 | Sneech(スニーチ) |
ジャイ子 | Little G(リトル・ジー) |
出木杉 | Ace(エース) |
キャラの名前がアメリカ風に変えられているのは、
- のび太→英語版だと女っぽい発音になるから
- ジャイアン→「ジャイアント」だと「ぼんやりした」などの意味があるから
- スネ夫→かたつむりを意味する「Snail(スネイル)」に似ているから
という理由がある。
アメリカ風の名前にはなっているが、なるべく日本版と変わらない音の名前を付けてくれていると私は思う。
【追加雑学②】アメリカ版ドラえもんの道具変更
日本では2010年9月10日に放送された「変身! ドラキュラセット」の内容が、アメリカ版では一部変わっている。ドラキュラセットを使ったのび太を懲らしめるために、日本では十字架に見立てたものを使うのだが、アメリカではピザになっているのだ。
もともとのストーリーはこうだ。
スネ夫の家でドラキュラの話を聞かされ、靴も履かずに飛び出したのび太。そのことをスネ夫やジャイアン、そしてしずかちゃんにまで笑われる。夜になっても怖くて眠れないのび太に、ドラえもんは「ドラキュラセット」という道具を出す。
「ドラキュラセット」は、血の代わりに記憶を吸い取る道具で、それを知ったのび太はドラえもんから無理やり借りてしまう。
のび太を笑ったジャイアン・スネ夫・しずかちゃんの記憶を吸い取るだけならよかったのだが、のび太は翌日廊下に立たせた先生や、お説教をしようと待ち構える母の記憶も吸い取る。
見かねたドラえもんが道具を取り返そうとするが、ドラキュラセットでコウモリになったのび太に逃げられる。「こうなれば十字架だ!」とお玉と菜箸を使って十字架を作って懲らしめようとするが、失敗。ドアに思いっきり鼻をぶつけてしまった。
のび太は「道具を貸したことを忘れさせよう」と、ドラえもんの記憶を吸い取ることにしたのだが、鼻に絆創膏を十字状に貼ったドラえもんの姿を見て気絶してしまう。
そして、ドラえもんによって「ドラキュラセット」の記憶を吸い出されて、話は終わるのだ。
のび太がドラえもんの記憶を吸い出そうとしたときに、ドラえもんが救急箱を使って自分を手当てしているシーンがある。
そこで十字状の絆創膏を目にしてのび太は気絶するのだが、アメリカ版は絆創膏や救急箱がなくなって、ドラえもんがピザを持っているシーンになっている。このピザはニンニクを使ったもので、そのニオイでのび太を懲らしめたのだ。
なぜ変更になったのかというと、アメリカでは特定の宗教を連想させるものはなるべく避ける傾向がある。十字架はキリスト教を連想させるので、宗教に関連がないニンニク入りのピザに変更したというわけだ。
日本人が見たら「なぜ?」と思うかもしれないが、これもアメリカの文化に合わせた変更なのだ。海外のアニメ事情は、なかなか興味深いものがある。
「アメリカ版ドラえもん」雑学まとめ
今回は、アメリカ版のドラえもんにまつわる雑学を紹介した。
海外に日本のアニメが進出するのは、日本人としても嬉しいことだ。しかし、そのままではアメリカ人には親しまれにくいこともある。
「ドラえもん」の場合だと、ドラえもんが間違えられる動物が、タヌキからアザラシになっている。これは、アメリカ人にとってタヌキが馴染みのない動物だからだ。
このほかにも、アメリカの文化や言葉の語感に合わせて、さまざまな変更がされている。こういった日本との違いを見つけるのも楽しいものだ。
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