水辺一面に広がるフラミンゴの群れの映像を、あなたも一度は見たことがあるだろう。太陽が照りつける広大な自然に、ひしめく紅色のカーペットに魅了された人は多いに違いない。
しかし、フラミンゴはなぜ、あんなに鮮やかなピンク色をしているのだろうか? それは彼らの餌に秘密がある! 今回の雑学ではその秘密にフォーカスをあててみよう。
【動物雑学】フラミンゴが赤くなる理由は"モテるため"
【雑学解説】藻類やエビに含まれる成分がフラミンゴを赤くする
「でも生のエビは別に赤くないじゃないか。それにピンク色の藻なんて見たこともないぞ」
その疑問は正解だ。フラミンゴが食べる甲殻類や藻は、それ単体で最初から赤いわけではない。ではエビが赤くなる条件とは? そう、茹でることだ。そもそもなんでエビやカニは茹でたら赤くなるのだろう?
これはアスタキサンチンをはじめとした、カロテノイド系の色素成分によるものだ。このアスタキサンチンというのは、本来は鮮やかな紅色なのだが、普段はタンパク質に結合していて色を帯びていない。
ところが、エビを茹でてあげると、タンパク質と色素が熱で分離される。これがエビが茹でると赤くなる理由だ。
フラミンゴが赤くなるのも同じような理由である。といっても熱でタンパク質が変化しているわけではなく、エビや藻を消化するときにフラミンゴの消化酵素が色素を分離しているのがその原因だ。
ちなみに、エビやカニがアスタキサンチンを溜め込んでいる理由もおおもとをたどれば「ヘマトコッカス」という藻類の植物を源としている。そのため「フラミンゴとエビが赤いのは藻類の植物が原因である」という方がより実態に近いかもしれない。
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実際フラミンゴは、エビなどの甲殻類以上に藻類をより多く食べることでも知られている。動物園では、色素成分を強化した特別な餌を配合して与えているそうだ。
しかし、フラミンゴはそもそもなぜ赤くなる必要があるのだろう?
その理由はというと……「モテるため」である。
【追加雑学①】フラミンゴは赤色が鮮やかなほどモテる
フラミンゴの世界では、体の色が赤になってからがやっと一人前だ。そして、その赤色が鮮やかなほど、より多くの異性を引きつける。
その鮮やかな赤を見せつけるように、繁殖期になると集団ダンスを行い、気の合った雌雄でカップルが成立する、ということだ。雌雄だけではなく、フラミンゴのゲイ・カップルも確認されたというから、フラミンゴの世界もなかなか進んでいる。
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【追加雑学②】フラミンゴは踊るし、化粧もする
踊るだけではない。なんと、フラミンゴはモテるために化粧までするのだという。
赤色の鮮やかさがフラミンゴのモテる要素だが、その色合いをより綺麗なものにするために、自分の身体の尻尾のあたりから、より色の濃い脂を分泌して全身に擦りつけているのだ。
この化粧はやはりというべきか、オスよりメスのフラミンゴのほうが頻度が多いようだ。フラミンゴの世界でも女子は大変なのである。
【追加雑学③】食べ物次第で青くなる甲殻類がいる
さて、ここまでは赤くなる動物たちを追ってきたが、逆に食べるもので身体が青くなる甲殻類がいるのはご存知だろうか?
それが皆さんご存知アメリカザリガニ。茹でなくても濃い赤色をしている彼らの体色ももちろん、アスタキサンチンが原因なわけだが……
実はというかやっぱりというか、ザリガニ自体はもともと赤色ではなく青い体液をしている。
だから、餌を厳選して赤色色素のないものを与え続ければ、ザリガニはくっきりとしたブルーに育つというわけである。しかしどれだけ青色になるのだろうか? 三重県の鳥羽水族館でそれを撮影した方の動画を今回は発見した。それがこちら!
なんとも見事な青色である。餌次第でこれほど生き物の色が変わってしまうとは、なんとも不思議なものだ。
雑学まとめ
今回はフラミンゴの魅惑の赤色から始まって、エビやザリガニを始めとした、身が赤い生き物たちの秘密を探ってみた。
ここまで書いて、どうしても気になってしまったことがある。青いザリガニだけをフラミンゴに与え続けたら、その体色は一体どうなるのだろうか!?
といっても、フラミンゴはザリガニなんて食べないだろうし、それだけ与えていては確実に生きていけないだろうが……これが気になって眠れなくなったあなたから、未来のトリビアが生まれるかもしれない!
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