よく知られた話ではあるが、高校時代のイチローはまさに二刀流。エースとして試合を組み立てる一方、打撃の中軸を担っていた。
が、高いバッティング技術を買われ、プロ入り後はバッターに専念することになる。
今回の雑学では、イチローのプロデビュー年である1992年の成績・記録・打率とともに、全ヒット(安打)をご紹介するぞ!
あの天才打者も、カッコいいデビューを飾っていたわけではなかったのだ…!
【スポーツ雑学】イチロー全ヒット(安打)成績・記録・打率【1992年】
【雑学解説】1992年のイチローは、ウエスタン・リーグで活躍
イチローを苦労知らずの天才だと思ったら大間違いである。
まず、彼のプロデビューは華々しいものではなかった。高校時代に超がつくほど注目されていた選手ではなかったのだ。ドラフトも4位で指名されている。野球界のレジェンドとなったイチローの現在からすれば驚きだろう。
しかし、高校時代の通算打率がおかしい。おかしすぎる。537打数269安打なのだ。打率.501。5割超えだ。簡単に言うと、2回に1本ヒットを打っている。異次元だ。
ちなみに、イチローの出身高校は愛知の名門・愛工大名電高校だが、その合宿所の廊下には、この恐ろしすぎる成績が張り出してあるそうだ。後輩たち高校生にとっては、もはやプレッシャーにもならないだろう。スゴすぎて参考にならないのだ。
ただ、すぐにプロ野球の1軍でイチローがデビューすることはなかった。ドラフト4位ということもあり、イチローはウエスタン・リーグからプロキャリアをスタートさせることになる。2軍で結果を出したら1軍に上げてやんよ、というスタイルだ。
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プロ1年目から振り子打法
もともとの高いミート力をさらにアップさせるために取り組んだのが、もはや懐かしい「振り子打法」だ。MLBのイチローしか知らない人にとっては、「振り子打法」がなんなのかわからないかもしれない…。
知らない人のために一応解説を。振り子打法とは、右足を「振り子」のように動かすことから名付けられたバッティング方法のこと。見てもらったほうが早いので動画を貼っておこう。
この打法は、当時オリックスの2軍打撃コーチを務めていた、河村健一郎との二人三脚で生まれたものだ。
ウエスタン・リーグで打ちまくるイチロー
ウエスタン・リーグ(2軍)からキャリアをスタートさせたイチローだが、「どんだけ打つねんあの新人」と言われたかは知らないが、ヒット打ちまくりである。
高校を卒業したばかりの青年が、2軍とはいえプロが相手。しかしイチローは、ウエスタン・リーグ開幕から8試合連続安打を記録。さらに、10試合目の時点で38打数17安打、打率.447と打ちまくり。
すでに「やべー新人きちゃったよ」状態だったわけで、そこからも好調を維持した。
そうなると当然上からお声がかかる。1992年7月11日、ついに待ちに待った1軍昇格! このときイチローが「よっしゃああああ!」と思ったか「まあ当然でしょ」と思ったかはわからない(後者な気がしないでもない)。
7月11日の1軍昇格とともに初出場も果たしたが、残念ながらヒットなし。しかし、翌日のダイエー戦では、木村恵二投手からライト前ヒットを放つ。いまでは木村恵二投手も「イチローから初ヒット打たれたの俺」と自慢できるだろう。
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【1992年】イチロー全ヒット(安打)一覧
ここで、1992年のイチローの通算成績をみてみよう。以下の表に、1軍での全ヒットをまとめてみた。
※横にスクロールできるぞ。
日付 | ヒット数 | 内容 | カウント | 投手 | イニング | ランナー | 対戦相手 |
7/12 | 1 | 右前安打 | 2B-1S | 木村恵二 | 5回1out | なし | ダイエー |
7/26 | 2 | 右越二塁打 | 1B-1S | 山内孝徳 | 8回1out | なし | ダイエー |
7/28 | 3 | 右前安打 | 1B-1S | 加藤哲郎 | 9回0out | 1塁 | 近鉄 |
7/29 | 4 | 右前安打 | 2B-0S | 高柳出己 | 7回先頭 | なし | 近鉄 |
8/7 | 5 | 遊撃内野安打 | 1B-0S | 吉井理人 | 8回1out | なし | 近鉄 |
8/13 | 6 | 左前安打 | 2B-1S | 荘勝雄 | 6回先頭 | なし | ロッテ |
8/14 | 7 | 左翼線二塁打(1) | 0B-1S | 内山正博 | 5回1out | 2塁 | 日本ハム |
8/23 | 8 | 中前安打(1) | 0B-1S | 潮崎哲也 | 8回2out | 1・2塁 | 西武 |
8/29 | 9 | 右前安打 | 1B-2S | 高柳出己 | 3回1out | なし | 近鉄 |
9/1 | 10 | 中前安打 | 1B-1S | 金石昭人 | 7回先頭 | なし | 日本ハム |
9/6 | 11 | 右前安打 | 初球 | 平沼定晴 | 8回1out | なし | ロッテ |
9/7 | 12 | 中前安打 | 1B-1S | 小宮山悟 | 7回1out | なし | ロッテ |
9/7 | 13 | 右翼線二塁打 | 1B-0S | 小宮山悟 | 9回2out | なし | ロッテ |
9/8 | 14 | 左前安打 | 2B-2S | 足利豊 | 7回1out | 1塁 | ダイエー |
9/9 | 15 | 左越二塁打(1) | 1B-1S | 木村恵二 | 2回1out | 2塁 | ダイエー |
9/13 | 16 | 一塁内野安打 | 2B-2S | 武田一浩 | 5回1out | 1塁 | 日本ハム |
9/19 | 17 | 左前安打(1) | 2B-2S | 新谷博 | 2回2out | 2塁 | 西武 |
9/20 | 18 | 二塁内野安打 | 2B-1S | 鈴木哲 | 2回2out | 2塁 | 西武 |
9/20 | 19 | 左前安打 | 3B-2S | 鈴木哲 | 5回1out | なし | 西武 |
9/23 | 20 | 三塁内野安打 | 2B-1S | 高柳出己 | 7回2out | なし | 近鉄 |
9/24 | 21 | 右越二塁打(1) | 初球 | 佐野重樹 | 5回1out | 2塁 | 近鉄 |
9/27 | 22 | 三塁バ安打 | 1B-0S | 新谷博 | 7回先頭 | なし | 西武 |
9/29 | 23 | 投手バ安打 | 初球 | 牛島和彦 | 1回0out | 1塁 | ロッテ |
9/29 | 24 | 二塁内野安打 | 2B-1S | 牛島和彦 | 3回1out | なし | ロッテ |
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【1992年】イチローのシーズン成績
1992年のイチローのシーズン通算成績は以下の通りだ。
ポイント
- 出場:40試合
- 安打数:95打数24安打
- 安打内訳:単打19本・二塁打5本・三塁打0本・0本塁打
- 打率:.253
- 打点:5打点
- 盗塁:3盗塁
イチローにしてはちょっと寂しい成績といえる。やはりプロ1軍の壁は厚かった。
【1992年】イチローの全ヒット(安打)分布図
1992年にイチローが打ったヒットは24本。その分布図を作成した。
画像の数字はヒットの本数だ。
データが少ないのでなんともいえないが、プロ1年目から逆方向(レフト)へのヒットが多い。
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【1992年】イチローの全ヒット(安打)内訳
1992年にイチローが打ったヒットは24本だが、その内訳は単打19本・二塁打5本だった。円グラフにして内訳をみてみよう。
イチローらしい、長打を狙わないバッティングがすでに見えてきている。
若いと、ドデカイホームランを1発…と思ってしまいそうだが、イチローは淡々と自分の道を歩んでいたようだ。
雑学まとめ
今回の雑学記事では、1992年のイチローの全ヒット(安打)成績・記録・打率についてご紹介した。1軍で華々しいデビューとはいかないまでも、イチローはこのころからコツコツとやるべきことをやっていたようだ。
「近道はない」とよく口にするイチローが、若い頃から先を見据えて野球に取り組んでいた一面が見えた気がした。
さて、シーズンを終えたイチローだが、ウエスタン・リーグで打率.366の好成績を残し、首位打者を獲得。高卒の新人では、1960年に中日・高木守道が達成した以来となる快挙だった。「ジュニア・オールスター(2軍のオールスターゲーム)」ではMVPも獲得している。
とはいえ、2軍での成績。我々が知る世界のスーパースター・イチローには程遠い。この時点で、MLBで「ICHIRO」の名が轟くようになるとは、誰が想像しただろうか…。
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