いつの世も「美」は、多くの人々の関心ごとだ。
古代ギリシアで作られた女神像は、今なお「美の象徴」としてルーヴル美術館に佇み、その存在感を強く放つ。
ミロのヴィーナス。
大理石でできた美人は両腕を失いながらも、キリッとした凛々しい瞳で目の前に広がる世界を見据えている。完成から数千年経ち、人々の生き方も価値観も変化し続けているなかで、それでも変わらずに君臨しつづける絶対的な「美」。
でも、ちょっと考えたい。ミロのヴィーナスってほんとうに「理想的な美」なのだろうか…。今回は、ミロのヴィーナスの「美」についての雑学を紹介していきたいと思う!
【歴史雑学】ミロのヴィーナスのウエストはちょっと太め
【雑学解説】ミロのヴィーナスは「理想の女性の体型」より少し骨太
世の中には恐ろしいかな、「理想的な女性の体型」を示す数値がある。
- バスト=身長×0.52〜0.53
- ウエスト=身長×0.37〜0.39
- ヒップ=身長×0.53〜0.54
この数字をミロのヴィーナスに当てはめると、なんとすべての比率が20センチ程度大きくなるのだそう。すなわち、ミロのヴィーナスは理想的な体型よりも太めな女性ということになるのだ。
うーん…いわれてみれば、少しくびれは小さい気がするが…。でも、お腹は出ていないし、むしろ腹筋が割れているように見えるし、なにより体の線がはっきりしていて、きれいだと思うんだけどなあ。
あのプロポーションが「ぽっちゃり」だとしたら、女性として、こんなに恐ろしいことはない…。
ちなみに彼女のバストのカップ数についても計算している人が複数おり、これには二つの説がある。
ずばり、BカップとEカップだ。
…筆者は小声でBカップ説を推す。何もまとわず自然に立っている姿は、バストが小さく見えやすい状態とはいえるが、それにしても「豊満」にはあまり見えないのだ。
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【追加雑学①】ミロのヴィーナスには「黄金比」がたくさん隠されていた!
ぽっちゃり貧乳(かもしれない)のミロのヴィーナス。
ではなぜ彼女は、「理想のプロポーション!」「美しい女性の象徴!」ともてはやされてされているのだろうか。
そこには「黄金比」と呼ばれる数値が一枚噛んでいた。「黄金比」とは、これまた古代ギリシアで発見された数値で、人間が最も美しいと感じる比率のことである。
1:1.618が黄金比だ。
ミロのヴィーナスには、この黄金比がたくさん隠されている。たとえば、「頭からつま先とへそからつま先」「脚の長さとひざ下の長さ」など。
いたるところで黄金比が使われているミロのヴィーナス。そりゃ美しく見えるわけである。
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【追加雑学②】ミロのヴィーナスは「両腕がないから」美しい!?
ミロのヴィーナスを語る上で欠かせない要素が、「両腕の喪失」だろう。
彼女には両腕がない。失われた腕に関して、これまで様々な議論が交わされてきたが、真相は定かでないままだ。彼女がどんな腕を持ち、どんなポーズをとっていたのか、なぜ両腕を失くしてしまったのか、それを知る人は地球上に一人もいない。
まさにミステリー。
そして、ミロのヴィーナスが美しい理由に、しばしばこの「両腕がない」という要素が挙がるのだ。「不完全の美」である。
ミロのヴィーナスが失った両腕のミステリーは、見る人に「想像の余地」を与える。鑑賞者の想像による補完によって、初めて完成する芸術なのだ。
そしてその不完全さ、鑑賞者に委ねられることで生まれる鑑賞の能動性に、完璧な作品にはないミロのヴィーナスの「美しさ」があるといえるのである。
どんな時代でもミステリアスな女性は美しいものだ。
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雑学まとめ
今回はミロのヴィーナスの美と体型についての雑学を紹介した。
ミロのヴィーナスが「太っている」とされていることに、いまだに衝撃を抑えられない…。
でも、太っていようが腕がなかろうが、大昔から「美の象徴」として世界を魅了し続けるミロのヴィーナスは、最強の女神であることに変わりはないだろう。
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