車に乗っているときにトンネルに入ると、いつもと違った環境になりワクワクするものだ。トンネルの中で息を止めて遊んだ人も多いかと思う。
トンネルの中はオレンジ色の照明で照らされているのも、どことなく幻想的だ。しかし、なぜオレンジ色なのか。一般的な照明の白色でもいいのでは?
今回紹介する雑学は、トンネルの照明がオレンジ色である理由についてだ。さらに、調べていくと驚きの事実も発覚したので、オレンジ色の照明が好きな人は覚悟しておいてほしい。
【生活雑学】トンネルの照明がオレンジ色である理由
【雑学解説】トンネルのオレンジ色の照明には合理的な理由があった
トンネルに使われているオレンジ色の照明の多くは、「低圧ナトリウムランプ」というランプが採用されている。この低圧ナトリウムランプには、以下のような特徴があるのだ。
- 光の色が排気ガスの影響を受けづらい、橙黄色
- 水銀灯と比較すると消費電力が少なく、電気代が安くすむ
この2つの特徴はトンネルという環境において、非常に重要である。トンネルは通常の道路のように開けていないため、排気ガスが充満しやすい。
現在では排気ガスの規制も進んでいるが、昔は今ほど規制が厳しくなかった。その結果、トンネルの中は車から出た排ガスにより、ススや煙がたまりやすかったのである!
さらにトンネルは道路に設置されている照明灯とは違い、昼間でもランプをつけっぱなしだ。自分の家を想像して欲しい。電気をつけっぱなしで毎日を過ごしたときの、電気代の恐怖を…!
このような理由から、排気ガスがたまったトンネル内でも光が届きやすく、電気代も安い低圧ナトリウムランプがトンネル用の照明として広く使われるようになった。
幻想的とかロマンチックとかそんな理由ではなく、オレンジ色の照明はコストを考えた現実的な理由で採用されたのだ。
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【追加雑学①】トンネルは内部よりも入り口の照明の方が明るい
トンネルの照明は全ての箇所で同じ明るさではないというのも、トリビアとしてご紹介しよう。
「内部の方が暗いから、明るくなるよう配置されているんだろう」と考えた人は、残念ながら不正解だ!
実はトンネルは、内部の方が暗く、入り口や出口付近の方が明るくなるよう照明が配置されている!
こうした照明の設置の仕方は、安全に配慮したものだ。急に暗い場所に入ったときや、急に明るい場所に出ると人間の目が順応できず、運転に支障をきたす恐れがある。
オレンジ色の照明で電気代を削減し、設置の仕方を工夫することで安全面にも配慮するとは。道路を運営していく人々の情熱に恐れ入った。
【追加雑学②】トンネル内の消火栓は実はホタル光色の赤色
低コストな上に、設置の仕方で安全にも配慮可能なオレンジ色の照明。万能のランプに思えるが、実は1つ欠点がある。それは、「色を見分けるのが難しい」ことだ。
オレンジ色の照明の低圧ナトリウムランプで照らされた場所では、そこにある物を本来の色で判断しづらいのだ。
色の見え方に影響を及ぼしてしまうといっても、トンネルに住むわけではないし問題ないだろうと思うかもしれない。たしかにそうだ。
ただ、トンネル内に設置された消火栓に関しては大問題なのである! 消火栓の赤色とオレンジ色は近い色のため、見えづらくなってしまっては非常時に見つけらず、大惨事になりかねない。
そこで解決策として、トンネル内の消火栓はホタル光色の赤色で塗装されているのだ! 全く気づかなかったぞ…。気づかないうちにオレンジ色の影響を受けて、色が判別しづらくなっていたのか…。
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【追加雑学③】トンネルの照明はオレンジ色以外も増えている
トンネルの照明といえばオレンジ色というイメージが強い。実際に昔はオレンジ色が主流だった。だが、最近はどうだろう。
そう、実はオレンジ色の照明は過去の話なのである…! 現在では白色の照明を設置したトンネルも増えており、新しいトンネルの多くは白色の照明で照らされている。
なぜトンネルに白色の照明を設置できるようになったのか。その理由としては、大きく2つの理由が考えられる。
- 排ガス規制が進み、トンネル内にススがたまりにくくなった
- 電気代の安い白色のランプが開発された
昔に比べると、今は車の排気ガスも綺麗になった。そのため、トンネル内でもススで見通しが悪くなることが少なくなり、自然に見える白色の照明を使えるようなったのだ!
さらにトンネル運営につきまとう電気代の問題も、技術の進歩で解決された。LEDランプのような、消費電力が少ない白色のランプが開発され、トンネルに設置されているのである。
なんてことだ…。懐かしさを感じるオレンジ色の照明は、本当に懐かしい過去のものへと変わってしまっていたなんて…。
トンネルの照明に使われるランプは時代とともに変化していった
いつからトンネルの照明はオレンジ色から白色に変わってしまったのだろう。そんな疑問を解決するために、トンネルのランプの移り変わりを紹介しよう。
- 昭和40年頃:低圧ナトリウムランプ
- 昭和50年代:一部に高圧ナトリウムランプの使用を開始
- 平成の初め:改良された高圧ナトリウムランプへと移行
- 平成11年頃:白い光のHfホタル光ランプの使用開始
- 平成21年頃:セラミックメタルハライドランプの使用を開始
- 平成23年頃:昼白色のLEDランプへと移行
家庭用の照明やイルミネーションにも利用されているLEDランプ。寿命が長く消費電力も低い、便利なランプだ。
トンネルは昼間でもランプがついているため、寿命の長さはランプ選びで重要なポイントなのだろう。頻繁にランプを交換するのはトンネルじゃなくても大変だし、面倒である。
今後はLEDのランプが主流となっていくようだ。オレンジ色の照明で照らされたトンネルを楽しみたい人は、今のうちにドライブに行くのをおすすめするぞ!
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トンネルの照明の美しさを楽しめる動画を発見!
トンネルのオレンジ色の照明は実用性の面から採用されているが、見ていて綺麗だと感じたりワクワクする気持ちは消えない。トンネルは楽しいと感じてしまうものだ!
そんなトンネルの照明の美しさを収めた動画がこちら。
まるでSF映画のような、近未来感のあるトンネル…! これは子どもはもちろん、大人もワクワクしてしまうだろう。
トンネルを通る際には安全運転へ配慮しつつも、ぜひ照明の美しさも堪能してもらいたい。自分のお気に入りのトンネルを探しにドライブへ行くのもおすすめだ。
雑学まとめ
今回は雑学としてトンネルの照明がオレンジ色である理由と、トンネルの照明にまつわるトリビアを紹介した。照明の色選びにもきちんとした理由があるとは、奥が深い。
安全のことを考えて管理されているトンネルも、利用する人が安全のことを忘れてしまえば事故がおきかねない。
オレンジ色の照明に込められた安全への思いをしっかりと感じつつ、安全運転でドライブを楽しもう!
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