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古代ローマの食事は吐くのが当たり前…!?寝ながら食べてました。

雑学カンパニー編集部

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過食嘔吐を繰り返した古代ローマ人の雑学

古代ローマ貴族は、揃いも揃って過食嘔吐。食っては吐いてを繰り返す日々である。

なにそれ…みんなそんなに病んでたの!? と、思うところだが、これには彼らの贅沢すぎる食事習慣が関係していた。なんか行儀悪いし、とにかくもったいない…。いろいろツッコミどころ満載の食事習慣である。

そして実は、貴族に比べて庶民たちの食事が質素で世知辛い…。今回はそんな古代ローマ人の食事習慣の雑学をお届けしよう!

【面白い雑学】古代ローマの食事は吐くのが当たり前…!?

秀吉くん
エキセントリックなトリビアっすねえ…
信長さん
吐くのってツライと思うんだがな…

【雑学解説】贅沢で堕落しきった古代ローマ貴族の食事習慣

古代ローマ人の食事と嘔吐習慣についてのトリビア

古代ローマの貴族は、歴史上最大の贅沢をしていたといっても過言ではない。

長い歴史のなかで植民地を広げ、豊かになっていった古代ローマでは、奴隷や庶民が仕事に汗を流すなか、豊かさのほとんどはこの上流階級の堕落しきった生活を支えるために使われていた。

特に目を見張るのは夕食にあたるケーナ。この食事の時間は毎日午後3時~4時ぐらいに始まり、音楽や大道芸などを楽しみながら、長ければ深夜まで続いたという。1日の半分が宴会みたいな感じである。

上流階級の仕事はだいたい午前中に終わり、彼らはこのケーナの時間までに入浴を済ませた万全の状態でやってくるのだ。アフター5ならぬアフターイヴニングとでもいうべき優雅さ…。

食事の時間が長ければ、食べる量もすごい。さらに高価なものも惜しまず使うため、「祭日の料理に奴隷1人分(200~300万円)以上の費用をかけてはいけない」などという法律が発令されたこともあるぐらいだ。

古代ローマの上流階級には、常日頃からそのぐらいの額のかかった食事が無料で配給されていたということである。そんな異常な生活水準のせいか、古代ローマ貴族は食事の仕方についても感覚を疑う部分が多々出てくる…。

寝ながらご飯を食べてた

貴族たちのケーナは、特別なゲストを呼んだ会食の場合、みんな寝そべった状態でテーブルを囲んで食べる

テーブルの周りには各3つずつ、寝そべる用の長椅子が置かれ、ひとつのイスにつき3人が寝そべれるようになっている。

みんながテーブルに頭を向け、うつぶせや横向きの状態で寝そべり、左ひじをクッションに乗せ、右手で食事をする。丁度スフィンクスのような格好である。

なんか行儀悪い…ていうかご飯こぼしそう…。と思いきや案の定で、ご飯を食べるとき用の使い捨ての服も用意されていた。どんだけ…。

ちなみに長椅子が3つと決まっているのは、奴隷が食事を運んでくるためのスペースを確保するためである。

諸説あり?クジャクの羽はご飯を吐くためのアイテム

古代ローマ人が愛用したクジャクの羽

クジャクの羽は、古代ローマのケーナの習慣には欠かせないアイテムである。ん…? クジャクの羽なんてさすがに食べないだろうし、いったいなんに使うの? と思うところ。

これはなんと吐くために使われていた! 口の中にクジャクの羽を突っ込み、その刺激で食べものを吐き出すのだ。

秀吉くん
ガチ感がスゴいっす!

考えてみれば、午後3時から深夜までの食事なんて長すぎる。単に宴会していただけでそれほど食べていなかったとも考えられるが、それにしてはお金もかかりすぎている…。

そう、古代ローマの貴族たちは食べては吐き、食べては吐きを繰り返し、満腹になった胃袋をその都度リセットしながら長時間の晩餐に勤しんでいたのだ! もったいない…。というか吐いたものを片付ける奴隷が気の毒である。

信長さん
大人は美味いものをちょっとずつ食うもんだ。

と、このいかにもやりすぎな習慣には、実は諸説がある。「あまりに量を食べるもんだから、たまに吐いちゃう人もいたよ」って話が、おもしろおかしく誇張されたとする見方もあるのだ。

クジャクの羽うんぬんは、クジャクがその美しさから高貴な食べものたされていたところからじゃないか。

ちなみに終身独裁官として名を馳せたガイウス・ユリウス・カエサルは、食事会の際、嘔吐剤を常備していたとする記録がある。

これに関しても常に使っていたわけではなく、酔っぱらってしまったり、お腹いっぱいで食べられなくなってしまったりなどで客に失礼がないよう、あくまで念のために用意していたものだとされる。

吐いた吐いてないの真偽はともかく、不健康な習慣を常としていたからか、古代ローマの貴族たちは寿命も短かった。食べものの栄養価自体も度外視されていたというし、贅沢な割に実はジャンキーだったのかも。

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吐いてなくてもけっこう下品

吐いた吐いてないの問題以前に、寝ながら食べるケーナの習慣が現代の感覚で見るとなかなか下品であることは間違いない。なぜなら、以下のようなことが礼儀と捉えられていたからだ。

  • おならやゲップを盛大にすることが、食事に満足している合図
  • 食べカスやエビの殻などのゴミは全部床に投げ捨てる(食べ散らかすほうが満足しているように見えるため)
  • 食事中のトイレは、席を離れずに奴隷が持ってきた尿瓶で済ます

古代ローマ貴族の食卓では「いやあ~、おいしかったですなあ! ゲ~ッ! ブウッ!!」みたいな会話が飛び交っていたのかもしれない。

そんでもって吐いてなくても床は汚い。食べカスもそうだが、尿瓶で用を足すのも失敗してしまうことがあったのではないか。というか単純に食事の場でしてほしくない。やっぱり奴隷が気の毒…。

【追加雑学①】古代ローマには嘔吐健康法があった

食事中に毎回吐いていたという情報は不確かでも、実は古代ローマの医学書には、食事を吐き出すことが健康法の一種と見なされていたことを示す記述が見られる。意図としては、以下のことが挙げられているぞ。

  • 月に2度ほど食事を吐き出して体のなかをリセットすることで、悪いものを溜め込まないようにする
  • 日頃から食べ物を吐き出すクセを付けておくことで、不意の毒殺などにも対応できる

なるほど、デトックス的な考え方から吐くことが推奨されていたわけだな。毒殺に関しても、有識者が狙われる可能性が高いことは納得できる。でも、どう考えても健康的な方法とは言い難いような…。

【追加雑学②】古代ローマにおける1日の食事内容は?

古代ローマでは、初期のころは以下の3つの時間帯に分けた食事が行われていた。

  • イェンタークルム(朝食)
  • ケーナ(昼食)
  • ウェスペルナ(夕食)

おや? と思った人もいるんじゃないか。そう、貴族の夜の宴会だったはずのケーナが昼に来ているのだ。

どういうことかというと、最初期のローマは覇権がそこまで広がっておらず、全盛期のような豊かさをもち合わせていなかった。

このころは上流階級も肉体労働をする必要があり、1日身体を動かすための栄養源を昼食で摂るために、メインの食事であるケーナを昼食にもってきていたのだ。

しかし、時代が進むと植民地が増え、ローマ市内はみるみる豊かになっていった。すると上流階級は労働をする必要はなくなり、食事に対する考え方も「暑い昼間にケーナなんて食べてられねーよ」という感じになってくる。

こうして貴族たちのケーナの時間帯は夕方にずれ込み、代わりに軽い昼食であるプランディウムという時間が設けられ、以下のような形に変化していったのだ。

  • イェンタークルム(朝食)
  • プランディウム(軽い昼食)
  • ケーナ(夕方からの宴会)

夕方にずれ込んだケーナが豪華になったのは、植民地から豊富な食材が手に入るようになったから。長時間に及ぶ宴会が行われるようになったことも、またしかりだ。

ちなみに肉体労働に勤しむ庶民たちの食事はこの形態に変化せず、昼食をガッツリ食べる文化が続いた。もちろん豪勢な宴会もなしである。

古代ローマの人たちは何を食べていた?

古代ローマの人たちがどんなものを食べていたかにも触れておこう。

朝食(イェンタークルム)

まず朝食にあたるイェンタークルムでは、庶民たちは主に配給されるパンをワインやミルクに浸しながら食べていた。

この時代は冷蔵システムもなかったため、パンは長持ちさせるため、カチカチに乾燥させられている。飲み物に浸しながらでもないと、食べられる代物ではなかったのだ。これに加え、上流階級になると果物やチーズ、卵なども食べられた。

また労働者が、スポンサーの貴族から食べものを恵んでもらう風習もあり、これを目当てに庶民が貴族の邸宅前に並ぶ光景もよく見られた。ちょっとパチンコ屋の開店前の行列を想像してしまったぞ…。

昼食(プランディウム)

昼食にあたるプランディウムは二度目の朝食という意味で、上流階級はあくまで軽い内容で済ませる。ほとんどは昨晩のケーナの残り物を食べていたというぞ。

庶民の昼食は1日のメインの食事となるが、個人宅には調理場がほとんど設けられていないため、外食をする人が多かった。バールという庶民向けの安価な食堂があり、主にプルスという大麦のお粥が好んで食べられた。

質素倹約を謳い、「バールではプルス以外の食事を振る舞ってはいけない」みたいな法律ができたこともある。しかしほとんどのバールではこれを無視し、肉料理や野菜料理がこっそり振る舞われていた。

そりゃあ…貴族が豪遊してるのに、庶民がお粥だけっていうのはねぇ…。

夕食(ケーナ)

夕食にあたるケーナでは、貴族たちは前菜にサラダ・メインディッシュに肉や魚介類・デザートにフルーツやケーキと、高級レストランさながらのコースが振る舞われる。

肉に関しては独特の文化があり、主に好んで食べられたのは豚肉。古代ローマにおいて牛は神聖な生き物とされており、後期にさしかかるまであまり食用とはされなかったのだ。

また牛は農耕や運送に使うもので、食肉用に飼育されていなかったため、肉が硬くて、調理に手間がかかるという点も、あまり食べられない理由だった。

このほか鶏肉に関してはアヒルが一般的で、ニワトリは少し高価。またガチョウを太らせて作ったフォアグラもこのころからあった。

皇帝になるとそれこそ、キジやクジャクの脳ミソ、象の鼻などと、さらに珍味を求め始める。食自体が娯楽の域である。むしろ食べたくないまであるぞ…。

秀吉くん
ふつうの食事に飽きちゃったんすかねえ…

これに対して庶民のケーナはというと…、お粥・豆類を煮たスープ…だけ。食べたらすぐ就寝である。

とにかく、貴族との差がありすぎる…。

【追加雑学③】古代ローマの大衆浴場(テルマエ)は大型健康ランド

映画『テルマエ・ロマエ』などで、古代ローマの銭湯文化を知っている人は多いだろう。しかしこのテルマエ、ただの大衆浴場だと思ったら大間違いだ。

大浴場はもちろん、プールにトレーニングジム、マッサージ室、大型の図書館まである。極めつけは併設されている食堂で、ここでは最低でも1食6皿の料理が振る舞われる。最近の大型高級ランドより充実しているかもしれない…。

しかも10円ほどの入場料ですべての施設を堪能できる。

貴族たちは午前で仕事を終えるとまずテルマエに行き、ケーナまでのリラックスタイムを思い思いに過ごすのである。というかケーナの前に6皿も飯食うやついるのか…?

貴族とお近づきになれば、豪勢なケーナに誘ってもらえることがあるといい、庶民でもそのチャンスを狙ってテルマエを利用する人が多かったという。

私なら貴族のケーナになんて呼ばれなくても、テルマエの食堂で十分満足できそうだ。…貴族が贅沢しすぎなだけで、古代ローマは庶民の暮らしも案外悪くなかったのかも?

【追加雑学④】古代ローマっていつの時代?

古代ローマ人の過食嘔吐に関する雑学

さっきから古代ローマ、古代ローマっていうけど、一体いつの時代なの? 古代ローマってどこにあるの? と思う方もいるかもしれないので、ちょっとだけおさらいしておこう。

古代ローマとは、イタリア半島の中心部を都市としたローマ帝国のことである。

中心地のローマは今でも世界遺産の宝庫として有名だが、全盛期にはイギリスやエジプトまで、その支配が及んでいたぞ!

ローマ帝国は、紀元前753年から紀元後476年まで、およそ1,000年ほど続いた歴史をもっている。この時代に水道設備や税金など、現代に続くインフラや政治の仕組みが作られた。

現代社会の最初の基盤といってもいい。テルマエの設備とか知ると、「そんなに前から…」と脱帽させられるよね。

信長さん
俺も楽市楽座とかやったけどな。
秀吉くん
なんで対抗意識燃やしてんすか…

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今回は古代ローマ人の食事習慣に関する雑学をお届けした。

テーブルを囲んで寝っ転がり、たまに吐いちゃう彼らの宴会は半日間も続く…。古代ローマ貴族たちの食事への情熱は、ある意味で計り知れない。

…うーん、ほかにやることなかったのかな?

信長さん
古代ローマ人にネットを使わせてやれば吐かないかもな…。
秀吉くん
ネットは暇つぶしに最高っすからねえ…

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